【縄文土偶探訪記⑮】— 釈迦堂遺跡博物館(山梨県)

釈迦堂遺跡博物館は、中央自動車道下り線 釈迦堂PAに隣接した主に縄文時代の土偶や土器を収蔵・展示している考古博物館である。釈迦堂PAの駐車場には、博物館への案内役である超大型の土偶さんのお顔(レプリカ)が置かれており、そのすぐ側には、博物館へ向かう階段がある。

中央道下り線 釈迦堂PA駐車場の脇には、釈迦堂遺跡博物館の案内板が設置されている。案内係は、しゃかちゃんの大型レプリカである!
中央道下り線 釈迦堂PA駐車場の脇には、釈迦堂遺跡博物館の案内板が設置されている。案内係は、しゃかちゃんの大型レプリカである!

階段を上り切ると、目の前に博物館の全容が見えてくる。駐車場から博物館入り口までは徒歩で2-3分だ。中央道国立・府中ICから小淵沢IC間を車通勤する私にとって、通勤途中に気軽に立ち寄れる博物館なのである。これまでの探訪回数は、2014年4月と11月の2回だ。初回探訪時に「しゃかどうファンクラブ(年会費1,000円)」に入会し、1年が経過したので、会員更新手続が必要となっていた。
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4月1日から始まる本年第2期の全国講演のため、3月30日の朝7時45分頃に私は愛車D4で八ヶ岳オフィスを発った。途中、セブンイレブンの小淵沢IC店 に立ち寄り、上り線の釈迦堂PAに着いたのは、午前8時半前だった。上り線釈迦堂PAには、信玄餅で有名な「桔梗屋」さんの直営店がある。家内が「桔梗信玄生プリン(そのまろやかさと上品な甘味は絶品だ!)」が大好物なので、最近、オフィスからの帰路には、毎回立ち寄るようになっていた。

今回は、生プリンの購入に加えて、もうひとつ所用があった。「しゃかどうファンクラブ」年会費の納入手続である。年会費は銀行振込が基本なのだが、事前に事務局に電話して、博物館受付での直接納入が可能な事は確認済みである。さらに、開館時間は9時からだが、8時半過ぎには受付が開いている事も教えていただいたのだ。

D4を離れ、数歩歩いてから気が付いた。「下り線の駐車場からは階段を上るだけだが、はて、上り線からはどういう経路で行くのだろうか?」PAの建物に近付く と、案内板が置かれていた。PA敷地に出入りするための小さなゲートらしき物がちゃんと設けられており、ここから、中央自動車道を横切る歩道橋まで東京方面に200m程歩く。歩道橋を渡った後、今度は200m程、甲府方面に戻る。そうすると、下り線の階段口終点に辿り着くのである。ここまで徒歩 で10分弱。目の前には、釈迦堂遺跡博物館のお洒落な建物がそびえ立つ。

釈迦堂遺跡博物館の全景。建物の裏手には、縄文時代の住居跡があり、公園のようなスペースとなっている。そこでは、桜が花盛りだった。
釈迦堂遺跡博物館の全景。建物の裏手には、縄文時代の住居跡があり、公園のようなスペースとなっている。そこでは、桜が花盛りだった。

建物裏手のスペースでは桜が満開、博物館の敷地内は華やいだ雰囲気に満たされている。受付に向かい、会費納入手続を済ませた。折角なので、土偶さん達にご挨 拶をと思い、入館料(200円)を払おうとすると不要との事。おそらく年会費納入と同時であったためだろう。早速、2階の常設展示室へと向かう。

釈迦堂遺跡博物館には、尖石の「縄文のヴィーナス」や「仮面の女神」のような強烈な個性を放つ土偶さんはいない。だが、ここでは1,116(個)体もの土偶さんが出土している。全国で出土した土偶さんの約1割に相当する数で、単独の遺跡からの出土数では最多との事である。この他に、土器、石器等も多数出土しており、これら5,599点の出土品一体として、2005年に国の重要文化財指定を受けている。

釈迦堂遺跡を解説した館内ポスター。土偶さん達の圧倒的な数は強烈なインパクトを与える。
釈迦堂遺跡を解説した館内ポスター。土偶さん達の圧倒的な数は強烈なインパクトを与える。

とにかく圧倒的な数の土偶さん達が展示されているのが、釈迦堂遺跡博物館の最大の特色である。展示ケースにズラッと並ぶ土偶さん達のお顔をひとつひとつ眺めていると、あっという間に時間が経ってしまう。これまで探訪してきた有名土偶さん達に似たものが多数あり、やはり土偶さん達は「モデル土偶」とその「デリバティブ土偶」に類型化できるのだなと思う。

土偶さん達が、こんな感じでひたすら並んでいる。ひとつひとつを眺めていると、あっという間に時間が経過してしまう。
土偶さん達が、こんな感じでひたすら並んでいる。ひとつひとつを眺めていると、あっという間に時間が経過してしまう。

その中で、別格扱いを受けているのが、下掲2体(点)の土偶さんだ。「しゃかちゃん(写真上)」と「しゃっこちゃん(写真下)」である。「しゃかちゃん」は、PA駐車場の案内係である大型レプリカのモデルさんである。展示ケース後方の壁には、子供達の笑顔の写真がズラッと並んでおり、なかなかお洒落な展示スタイルだ。ちなみに、「しゃかちゃん」は、SONYデジカメの笑顔撮影(スマイル)モードでちゃんと認識される。

看板土偶の「しゃかちゃん」。PA駐車場の大型レプリカで対面済なので、展示室で対面すると「おおっ、これが現物か」と感動する。
看板土偶の「しゃかちゃん」。PA駐車場の大型レプリカで対面済なので、展示室で対面すると「おおっ、これが現物か」と感動する。
こちらが「しゃっこちゃん」。亀ヶ岡の遮光器土偶「しゃこちゃん」とちょっと紛らわしいニックネームだが、こちらは「しゃっこ」である!
こちらが「しゃっこちゃん」。亀ヶ岡の遮光器土偶「しゃこちゃん」とちょっと紛らわしいニックネームだが、こちらは「しゃっこ」である!

展示ケースには、特にニックネームは表示されていないのだが、前回11月の探訪時に、メジャーな釈迦堂土偶さん達の「人気投票」というナイスな企画をしていた。その時にニックネームが判明したのだ。

前回訪問時に開催されていた「釈迦堂メジャー土偶さん達の人気投票」の様子。
前回訪問時に開催されていた「釈迦堂メジャー土偶さん達の人気投票」の様子。

別格扱いの土偶さんはもう1体。「出産土偶」さんで、 赤い台座の上に置かれているので、やはり主役級の扱いである。私には、どこが「出産」であるかよくわからないのだが、解説文には「江戸時代までは出産は座 産(中腰に座って産む)だと言われており、この土偶の姿はその姿勢そのものです。両足の間には新生児の頭部と思われる表現もあります。」と記されている。 だから「出産土偶」さんなのだ!こういう時は、深く考えてはならない。

「出産土偶」さんである。やっぱり私には、どこが「出産」なのかよくわからない...
「出産土偶」さんである。やっぱり私には、どこが「出産」なのかよくわからない…

この博物館も3回目の探訪なので、土偶さん達との対面時間は約30分。1回受付前のミュージアムショップへ移動した。ここには、オリジナルしおりの他に、しゃかちゃんやしゃっこちゃんの土鈴等を販売している。今回は、これまで未購入であった「しゃかちゃん」の土鈴1個(しゃっこちゃんは既購入)と写真右下のミニチュア土偶、それと展示案内(1,000円)を購入した。

ミュージアムショップで販売されている「しおり」と「土鈴」。この土鈴をオフィスに置くと幸運が訪れる(と私は信じている)。
ミュージアムショップで販売されている「しおり」と「土鈴」。この土鈴をオフィスに置くと幸運が訪れる(と私は信じている)。

こうして、私の第3回目となった「釈迦堂遺跡博物館」の探訪は終了。通勤途中にある博物館なので、これからもフラッと立ち寄る事になるだろう!

トリグラフ・リサーチ 稿房主
探訪日:2015年3月30日(月曜日)

『縄文土偶探訪記』 Vol.15