【オフィス・セルフビルド回顧録】室内 天井・床工事 忍耐編《1日目》

「水色の悪魔」—私は、オフィス・セルフビルドの期間中、アイツの事をそう読んだ。アイツとは、ポリスチレンフォームの断熱材「スタイロエースⅡ」である。

この「悪魔」の大きさは、長さ182cm、幅91cm、厚さ 7.5cmで、重量は4kg弱だ。ログ材と比べれば軽いし、1人で楽々と運べる程度の大きさである。雨に濡れても材質が劣化するわけでもないし、ベタ付きや臭いといった不快感も伴わないシンプルな部材だ。

『水色の悪魔』—私は、断熱材 スタイロエースⅡをそう呼んだ。部材としては何の変哲もないスチレンフォーム材なのだが、そのカット・加工・嵌め込み作業の面倒さに私は辟易したのだ!

だが、「断熱材」であるこいつは、垂木(屋根)や根太(床)の間に隙間なくピッタリと嵌め込む事によって、その機能を発揮する。真冬の気温が零下20℃にもなる八ヶ岳オフィスの快適性を確保する上では、極めて重要な存在と言える。

この「隙間なくピッタリ」を達成するには、根太、垂木の間隔の寸法をしっかりと測って、1枚1枚、正確なサイズにカット、加工する必要がある、オフィスは、片屋根で一部に欠けのある形状なので、根太・垂木は必ずしも等間隔に固定されているわけではない。

さらに金具や電気、アンテナ線やLANケーブル等の配置に合わせて溝や穴を穿つ必要もあるので、1枚ごとにオーダーメイド的作業が求められる事となる。この作業が如何に面倒で忍耐を必要とするかを、私は、ログ壁立ち上げ作業の3日目(https://triglav-research.com/?page_id=18736)に、わずかではあるが既に経験済みだった。

そして、この「水色の悪魔」との戦いは、セルフビルド作業の全期間において、私の「専担業務」となったのである。

2013年8月31日(土)の午後、八ヶ岳入りした私は、翌9月1日(日)の午前8時過ぎから作業を開始。まずは、三男を助っ人に、メジャーで垂木と垂木の間隔を計測。

ロフト下のスペースを占拠しているスタイロエースを1枚運んでは、加工する形状に合わせてペイントペンで線を引き、カット。その後、金具や配線に合わせた細かい加工を行うという「超地味な作業」をひたすら繰り返した。

ロフト下のスペースを完全占拠している「水色の悪魔」。この日は、垂木と垂木の間の寸法をミリ単位で計測した後、本宅メインウッドデッキの作業テーブルに1枚1枚運んで、カットと加工作業を延々と続けた。

この時の写真も何枚かあるのだが、あまりにも華のない絵面である上に、家内が撮影してくれた私の姿は、どれも「不快感(もうウンザリだ!)」が滲むのではなく、溢れ出ている。Webに掲載できるような代物ではないので「発禁」扱いと決めた。

結局、この日は「忍耐と小細工」のみが求められる作業を延々と続け、屋根(天井)部分のすべての断熱材のカット・加工を終えたのは、午後6時過ぎとなった。

そして、作業終了後、到着したばかりの「4台(代)目ファイヤープレイス」の「火入れ式」を行った。

火入れ式を行ったばかりの「4台(代)目ファイヤープレイス」。作業中の写真は、絵面が超地味な上に、私のウンザリ感が爆発しているので掲載不可。「来世分までの忍耐力を使い切った…」と確信したのがこの日だった。

ロッキングチェアに座って、焚き火台に揺らめくオレンジ色の炎を眺めながら、呟いた言葉を4年経った今でも記憶している。「来世分の忍耐力も使い切ってしまったな…」と。

次回出社(作業)は9月7日~8日となる。