【縄文土偶探訪記 Season 4 Vol.7】 東京都『三鷹市遺跡調査会 展示室』

探訪博物館: 東京都 三鷹市遺跡調査会 展示室
https://www.tef.or.jp/maibun/
探訪日: 2017年3月16日
探訪目的:どぐりんちゃん。ドグミーちゃん他

八王子市郷土資料館の探訪を終え、愛車D4に戻った私は、次の探訪予定先である「三鷹市遺跡調査会展示室」に電話を掛けた。土偶さんの展示や駐車場の有無等を確認するためだ。駐車場は数台分が有り、土偶さんも数体展示、かつ、写真撮影も可との事なので、計画通り探訪決行だ!

八王子市郷土資料館を10時50頃に発ち、途中、中央道を八王子ICから調布ICまで経由して、三鷹市新川の目的地へと向かう。カーナビの指示に従い、目的地まで数百メートル程度の距離に到達したのが11時半過ぎだった。

ちょっと大きめな食品スーパーがあったので、ランチの購入に立ち寄る。店舗2階の駐車場スペースは広々としていて、かなりガラガラ。1階の店舗で、サンドウィッチと野菜ジュースを購入し、そのまま徒歩で展示室へと向かった。

3~4分歩いて目的の場所に到着。目の前にはプレハブ2階建ての建物があり、2階右側の外壁には「三鷹市遺跡調査会展示室」と記された大型プレートが貼られていた。これまで訪問した博物館・考古館の中では「豪華さ」という観点からは、正直、ワースト3に入ってしまいそうな施設である。「展示室」という表記であった理由が何となく伝わってきた。

三鷹市遺跡調査会展示室の外観。各地の県立博物館のような豪華さは想定していなかったが、三鷹市なので、もう少し大きな施設だと思っていた。でも重要なのは、施設の大きさや豪華さではありません。名も無き土偶さんとのCEUD満足度が私が求めるものなのです。

だが、私の目的は「名も無き土偶さんとのCEUD」なので、施設のクオリティは二の次だ。どんなに立派な施設でも、土偶さん達に対する愛情や敬意が感じられない展示スタイルにはガッカリする。さらに、土偶さんの写真撮影禁止なんて面倒な事を言う博物館には怒りを覚える。そう、大切なのは展示の中身と「情報発信に対する寛容さ」なのだ。

受付場所がわからなかったので、開いていた1階のドアから中を覗くと男性職員さんが1人、お仕事をしていた。土偶さん見学希望の旨を伝えると、「担当者を呼んできますね。」と言って、展示室建物右側にある別の建物に入って行った。2分程待っていると女性の職員さん(学芸員さんかな?)が出てきて、2階の展示室へと案内してくれた。

プレハブ建物の階段を上がってドアを開くと、すぐに展示室だった。スリッパに履き替えて中に入ると、正に「展示室」。一部屋で広さは10畳位だろうか。その限られたスペースに、土偶さんや土器、解説パネルなどが、効率的に配置されていた。

今回の探訪目的は、Web検索で発見した「どんぐりちゃん」という土偶さんである。女性職員さんに「どんぐりちゃん」の所在を聞くと。「ああ、どぐりんちゃんですね。」と言って、展示室中央のスペースを示してくれた。どんぐりじゃなくて、どぐりんか…

どぐりんちゃんは、三鷹市坂上遺跡の出土。縄文時代中期前半の土偶さんなので、年齢は、5,000才位だそうだ。お姿は、東京都埋蔵文化財センターの「多摩ニュータウンのヴィーナス(https://triglav-research.com/?p=16623)」にちょっと似ている。

「どんぐりちゃん」と勘違いしていた「どぐりんちゃん」。多摩ニュータウンのヴィーナスや富士見(井戸尻)のバンザイ土偶さんに雰囲気的に被るものがある。

脇から眺めると思ったよりも厚みがなく、どちらかというと「板状」の構造である事がわかる。

どぐりんちゃんを脇から撮影。「頭と身体とが、約100m離れた別の住居跡から発見されました」「女性らしさ全開のプロポーションと、意外なほどあどけない顔の持ち主」「オカッパ頭と笑顔がキュート!」との解説文が付されていました。

こちらの展示室の特色は、主要な展示物に「しっかりとした(愛情の伝わってくる)解説パネル」が添えられている事だ。「XXX遺跡出土 縄文時代**期」なんて素っ気のない展示スタイルではなく、見学者の興味を惹くような姿勢に好感を抱いた。

展示室のもう1人(体)の看板土偶さんが「ドグミーちゃん」だ。こちらは、丸山遺跡出土で、縄文時代後期の土偶さん。ちょっと怒っているような表情が、何とも愛らしい。

ドグミーちゃん(右側)。八ヶ岳の吊り目美人さん系とはちょっと雰囲気が違う。私には、怒っているように見える。

展示ケースのガラスが反射して、どうも写真撮影がイマイチの環境だったのだが、幸いな事に、ドグミーちゃんを正面撮影した大型パネルが展示されていたので、パチリ。やっぱり、ドグミーちゃんは何か言いたい事(文句)があるのだろう。

ドグミーちゃんを撮影したパネル。こちらの方が迫力満点。よく見たら 、是川縄文館の国宝土偶「祈りの土偶」とちょっとお顔の造りが似ているような気がする。

愛称付の展示物は、土偶さんだけかと思ったら、もうひとつあった。出山遺跡出土の土瓶形注口土器で、名前は「ねこどびん」。確かによく見ると、土器に「猫顔」のような物が描かれている。

こりらが「ねこどびん」。どこが「猫」なのかと最初は不思議に思ったのだが、となりのトトロの「猫バス」がこんな感じの顔だったような気がする。

「どぐりんちゃん」に「ドグミーちゃん」そして「ねこどびん」か… こういうシュールなネーミングは、結構、私の好みである。

展示スペースは広くはないので、見学時間は10分強だった。この間、女性職員さんは私の側にいて、色々と解説をしてくれた。「今日はどちらからですか?」と尋ねられたので、自宅は「川崎(新百合ヶ丘)」、会社は「長野(富士見町)」ですと答えた。すると「あら、私、下諏訪町(オフィスと同じ長野県諏訪郡)出身です。」との予期せぬリアクションが…

ナルホドね!展示パネルの丁寧な解説は「井戸尻考古館」に相通ずるものがある。解説パネルをこの女性職員さんが書いたかは確認しなかったが、何となく「長野県人の真面目さ」のようなものが滲み出ていたのだ。

三鷹市遺跡調査会 展示室のCEUDの水準(満足度)は、はっきり言って高い!こういう名も無き土偶さん達との出会いを 縄文土偶探訪記 Season 4では、地道に積み上げていきたいと思う。

トリグラフ・リサーチ 稿房主
【縄文土偶探訪記】