鉢巻道路「鹿の事故」に思う—八ヶ岳の道はのんびりと優雅に走行するもの

昨晩の8時過ぎ、いつものようにD4で「鹿の湯」に向かった。鉢巻道路を1分程走ると、目の前をパトカーが徐行していた。オフィス周辺では珍しい光景である。うろ覚えではあるが、人口1万人当たりの警察官(お巡りさん)の数は、長野県は少ない方から数えて、トップ5に入っていたように思う。八ヶ岳オフィス滞在中にお巡りさんに出会う事は稀なのである。

パトカーは、ヨドバシカメラ研修センターを少し過ぎた場所で停止した。その先には乗用車が数台、路肩に停車していたので、すぐに「人身事故」だと思った。D4を減速し、ゆっくりとパトカーの右脇を通り過ぎる際に、進行方向右側の路肩にまだ子供と思われる鹿がうずくまっているのに気が付いた(鹿の子供だから子鹿と呼ぶのかな?)。鹿の周辺には数人の人影があった。そして、パトカーの前には「他県ナンバー」の乗用車が3台。ああっ、鹿をはねちゃったんだな…

 GWや夏休みに入ると、八ヶ岳オフィス界隈は観光客で人口密度が上昇する。そして、鉢巻道路をとんでもないスピードで走行(暴走)する車が一気に増えるのだ。鉢巻道路は季節を問わず、鹿の群れが頻繁に(我が物顔で)横断する。冬程ではないが、夏場も鹿と出会うことは珍しくない。そんな事はわかりきっているので、地元の方や八ヶ岳に通い慣れたセカンドハウス族は、鉢巻道路では決して制限速度(50km)を大きく上回るようなスピードは出さない。特に、視界の悪い夜は安全運転に徹する。同じ「他県ナンバー」の車でも、走りの荒さの違いからセカンドハウス族か観光客か、おおよその見分けが付く。

昨晩、鹿をはねた乗用車が、そのどちらに属するかは定かではないが、おそらくは「鹿の横断」など想定せずに、かなりスピードを出していたのではないだろうか? 私の経験では、制限速度をしっかりと守り、鹿の出現に備え、十分に前方を注意した運転をしていれば「鹿との衝突事故」は回避出来る。そういった意味では、鹿との衝突事故は人間が引き起こす「惨劇」と言えるかもしれない。

『稿房通信』では「DEER軍団との攻防戦」なんて事ばかり書いているが、これは庭木に対する鹿の食害を防ぐための「私と鹿の知恵比べ」を面白おかしく綴っているだけである。私は決して鹿に危害を加えるようなことはしない。集団でオフィス敷地内にやってくる時は「オイオイ、勘弁してよ!」って感じだが、数頭で穏やかに草を食んでいる時は、その愛らしさに見とれてしまうこともある。

鹿なんてあまりにも頻繁に敷地内に侵入してくるので、最近は写真を撮影することもない。我が家の庭から「このオッサン誰や?」と私を見つめる鹿。「この敷地のオーナーじゃ!」と呟く私。鹿と私の間の距離は4m程だろうか…

お庭で2頭でゆっくりと草を食む鹿達。こういう時の鹿の姿は本当に愛らしい。

それに、これも経験上得た教訓だが「鹿は危害を加えると祟る(ような気がする)」。そもそも、奈良県に行けば「神の使い」とされる存在である。また「もののけ姫」に登場する「シシ神」さまのイメージが影響しているのかもしれないが、いくつかそれらしい事例も見聞きしているので、実は「確信」に近い。

実際の「DEER軍団」は、こんな感じで集団で行動する事が多い。我が家の敷地を守ってくれている財産区林は鹿の通り道で、大袈裟ではなく毎日のように鹿の移動を目にする。

子鹿の怪我が軽微であることを祈りながら、鹿の湯へ向かった。鹿の湯に浸かること約45分。再び事故現場に通りかかったのは9時少し前だった。パトカーは、先程とは逆、ヨドバシカメラ側の路肩に停車していた。3台の乗用車も子鹿も見当たらなかった。おそらく事故処理が続いていたのだろう。「本当にご苦労様です。」と心の中で呟いて、事故現場を通り過ぎた。それにしても、お巡りさんも鹿も災難だったな… 

鉢巻道路で無謀な運転をする観光客が減るのは8月最終週頃かな? 八ヶ岳の道はのんびりと優雅に走行してこそ、風景や豊かな自然環境が堪能できるのだ。無粋な観光客ドライバーが増えるこの時期、私は八ヶ岳オフィスで過ごす時間が一段と長くなる。