知らぬ間に「日本一長寿の町」に住んでいた

私にとって、新幹線やローカル特急での移動は、情報収集や整理のための貴重な空間と時間である。

iOS10.2で、スクショの無音化が実現してから、仕事関連のお堅い学術論文から一般の週刊誌まで幅広く目を通して、興味を覚えたものがあると片っ端からスクショして、そのままEvernoteやDropboxに放り込んでおく。仕事柄、ランキング情報など、定量的データを見つけると嬉しくなって気軽にスクショしてしまう。

今日はローカル特急の移動中、先週の週刊文春をまだ読んで(見て)いないことに気が付いた。土屋賢二先生の「ツチヤの口車」程、教養豊かなエッセイはないと思い込んでいるので、毎週欠かさず読む事にしているのだ。

今回の「モーゼの苦悩」を読み終えた後、iPad Proで他の記事を流し読みしていたら、「男性高齢者が長生き出来る町」というルポ記事に目が止まった。面白そうなので、じっくり読んでみることにした。

記事2ページ目の左下に「市区町村別平均寿命ベスト5」なるランキング表が掲載されていた。都道府県別は有名なので知っていたが、市区町村別データもあるんだ。さすが、統計大国日本である。

スクショしたあとに、トップ5の顔ぶれを見てビックリ。川崎自宅の所在地である「川崎市麻生区」が、男性で2位、女性で4位にランクインされているではないか… と言うことは、「男女総合では、日本一平均寿命が長い町」である。

八ヶ岳オフィス(職場)の所在地「長野県」は、都道府県別では長寿で有名だ。最新統計では、女性が1位、男性が滋賀県に負けたが、2位だったはずだ。豊かな自然環境と勤勉で几帳面(自堕落でない)県民性を考えれば、当然の結果だと思う。

だが、「川崎市麻生区」が長寿日本一の町であるというデータはピンとこない。記事の中では、その理由として「川崎市で最も1戸建て比率が高い」とか「区の3分の1が市街化調整区域で人口密度が低い」なんてピント外れの事が書かれている。だったら、地方都市が軒並みランキングの上位に並ぶはずじゃないか ! こんな分析、アナリストが書いたら「即失職」である。

唯一、評価できたのは「小田急線の新百合ヶ丘駅を抱える高級住宅地と知られる」という、住んでる本人が知らない情報が盛り込まれていたことだ。私の保有資産価値の上昇に繋がる事なので、嘘でもいいから、ドンドン書いて欲しい。どうせなら「王禅寺地区」と限定すればもっと良いのだが…

結局、川崎市麻生区が長寿の町である理由は、よくわからなかった。でも、結果として、私は日本で一番長寿な「町」に自宅を構え、一番長寿の「県」にオフィスを設けた事になる。これって「生きる上でのセンスの良さの証」だよね。

最近、週刊誌はこぞって「人生100年時代」の特集を組んでいる。私は、長生きしたいなんて考えたことは一度もなく、「生きている間は、好きなことを自由に楽しくやりたい」というささやかな願いを実践してきただけである。

今回の記事を読んで「100年生きるというリスクシナリオ」に対して、何も考えていなかった自身を反省した。80年の人生ならもう7合目だが、100年だと5合目を過ぎたところである。でも、なんか、考えただけで鬱陶しいな。「選択寿命制」みたいなのがあれば、ゴールに合わせて、しっかりとしたプランが組めるのだが…

ふと、車窓を見たら「大館駅」だった。東北巡業は、まだまだ続く。