7年ぶりの東京休日ひとり旅① — 特別講演「土偶について語り合おう」参加編

私の「東京嫌い」は、八ヶ岳にオフィスを構えてから、さらに拍車が掛かっている。

平日に仕事で東京に出るのは致し方ないが、休日に私1人で東京に出掛ける事はまず無い。私は「都会の瘴気」のようなものを感じてしまう体質のようであり、その瘴気は、この数年で確実に強まっている。

社主さま(家内)とコンサートや食事に出掛ける事は稀にあるが、彼女も私に劣らぬ「都会(正確には人混み)嫌い派」なので、年に数回有るか無いかである。

そんな私が、5月12日(土曜日)に1人で東京に行く旨伝えると、社主さまはちょっと驚いたようだった。用件が「国際縄文学協会https://www.jomon.or.jp/archives/15.html)」主催の特別講演「土偶について語り合おう」に出席するためであると伝えると納得。

だがすぐに「講演時間は何時間なの?」と問うてきた。「2時間だよ。」と答えると「あなたは他人(ひと)の話を2時間聞くのは無理だわ。2時間講演だったら途中で休憩があるはずだから、退席しやすい席に座って、休憩時間に抜け出して戻っておいで。」とのたまう。

いくら社主さまでも、失礼にも程がある。「2時間位の講演を聴き通す位の忍耐力は、まだ備わっておるわい!」と反抗しようとしたが、いつものようにグッと堪えた。零細企業の経営者とはそういうものである。

講演場所の住所は「西新橋」と書いてあったが、Google マップで調べると、仕事で頻繁に訪れる霞ヶ関駅から徒歩で7~8分の場所である。

講演開始は午後2時、受付開始は1時45分だったので、新百合ヶ丘駅を午後1時ちょっと前に発つ快速急行に乗車。代々木上原で千代田線に乗り換えて霞が駅着は1時半前。30分程の移動時間ではあったが、私にとっては「東京への遠い道のり」である。

小田急線の車中でふと考えた。前回1人で休日に東京に出たのはいつ頃だったかな? どうも記憶が無い。スマホのカレンダーアプリを調べてみたら、2011年に所属学会の春の大会出席記録@都心某大学が残っていた。

だとすると今日は「7年ぶりの東京休日ひとり旅」ではないか。緊張するな…

霞ヶ関界隈は熟知しているので、道に迷う事なく「国際縄文学協会」が入居するビルの講演会場に到着。時間は1時40分。受付を済ませ、席の指定は無いとの事なので、社主さまの忠告に従って最後列右端の席に着いた。

「国際縄文学協会」が2Fに入居する西新橋のビルに到着。仕事で頻繁に訪れる霞ヶ関駅からは徒歩で8分程要したが、内幸町駅や虎ノ門駅だったら5分も要さない場所だと思う。

講演は、山岡信貴氏(映画監督)と 譽田亜紀子さん(文筆家・著名な土偶女子)の対談形式。私の【縄文土偶道】は、誰との交流も持たず(何事も基本そうだが)、ひたすら我が道を歩んできた。

ゆえに、山岡氏と譽田さんの縄文時代や土偶に対する「思い」を感じる事が出来て、とても勉強になった。そして「土偶とは何か?」については、所詮、正解はない。だからこそ、奥が深くて、魅了されるのだと再認識した。

最初の内は、こんなに面白いなら2時間通しでも、全然余裕だなと感じていたのだが、社主さまの「予言」通り、1時間経過すると集中力が切れてきた。自分の講演の時は、2時間通しのコースでも全然平気なのだが、人の話を聞くのってこんなに疲れるのか??

「途中休憩」についての社主さまの予言は見事に外れて、結局、最後まで出席(聴講と言うのかな?)。自分が「人の話を聞く事が本当に苦手」である事を痛感した。

講演後は、譽田さんの著書の販売&サイン会と山岡監督による映画「縄文にハマる人々」の鑑賞券前売りタイムが待っていた。

私は、譽田さんの本はすべて購入済みだ。まさかサイン会なんてあるとは思わなかったので、本は持参していない。山岡監督の映画については、5月26日の東京国立博物館における先行上映会が既に申し込み済みであった(社主さまと2名分)。

でも折角の機会なので、本1冊と鑑賞券1枚を追加購入してご挨拶しようかなと考えていたら、あっという間に行列が出来てしまった。

「渋滞」「人混み」「行列」は私の3大忌避現象である。仕方ないので購入&ご挨拶は後回しにして、会場内に展示してある土偶さんのレプリカや縄文グッズを見学し、写真撮影。

土偶さんレプリカについては、既に50体に迫りつつある我がオフィスのコレクションの方が数的には勝っていた。だが、私が所有していないレプリカが数体ある。素直に悔しい!

特別講演の会場となった「国際縄文学協会」の図書資料室には土偶さんのレプリカが至る所に置いてあった。数的には我がオフィスのアッシュであるが、私が保有していないレプリカがかなり有った。悔しい…
ぱっと見、アクリルボックスには国宝土偶ガチャガチャが並んでいるのがわかったが、下段に寝ている遮光器土偶とみみずく土偶は初めて見た。ガチャガチャの種類増えたのかな??

さらに、縄文のビーナスさまの「ぬいぐるみ」らしきものも有る。「こんなの、どこで売っているんだろうか?」なんて考えながら見入っていたら、脇にいた若い女性の参加者2名が「わぁ~、土偶さんのもふもふだぁ~」なんて言いながら撫でていた。

縄文のビーナスさまの「ぬいぐるみ」のようなものが2体並んでいた。脇にいた若い女性の2人組が「もふもふ]と言って撫でていた。私も撫でたかったが「変態のオッサン」と思われるのが嫌で我慢した。でも「もふもふ」って何なんだ?

「もふもふ」ってなんなんだ。MoF、MoF?? 財務省が土偶さんのグッズ販売しているんだろうか…

さらに衝撃を受けたのが、レプリカ以外のグッズーコーナーの展示スペースだった。そこには「土偶ビスケット」「土偶ワッペン」「土偶さん携帯ルーペ」等々、これまで私の見た事の無いグッズがズラッと並んでいるではないか。

レプリカ以外の土偶さんグッズは、この写真以外にも多数展示されていた。ビスケットに携帯ルーペにワッペン… 私が見た事のない物ばかりだ。土偶さんグッズの世界は予想以上に広く深い!

グッズコーナーは販売中の商品を展示しているのかと思い、いくつか購入しようと思ったのだが、よく見たら「値札」がない。どうやら事務局の方や協会の会員さん達(私もそうだ)が全国各地の考古博物館で購入したものを並べてあるらしい。

5分程、土偶さんグッズや膨大な考古学関連の蔵書を眺めた後、山岡氏と譽田さんの前の行列を見たが、あまり変わっていない。私と同じような「後回し戦術」を考えた人達が、新たに行列に加わったからだ。

特別講演の出席者は50名程度だったと思うが、改めて行列を見たら老若男女実にバラエティーに富んでいる。やっぱり「縄文ブーム」が来ている事は間違いなさそうだ。

「行列に並んで待つ」「手持ち無沙汰に時間を過ごす」という行為は、私の信条に反する。この時点で、即座に本と前売り券の購入を断念した。

今日の講演の会場となった「図書資料室」は、平日の午前10時から午後4時迄は利用可能との事なので、霞ヶ関を仕事で訪れた際には立ち寄ろうと決めた。

「その時は、事務局の人に何か尖石グッズをお土産に持参しよう!」なんて考えながら霞ヶ関駅に向かった。

「用件が済めば東京からは即座に撤収」は弊社(私)の基本戦略なのだ!