たおやかな「縄文のビーナス」生誕地 — 棚畑遺跡の冬

八ヶ岳縄文王国の誇る国宝土偶「縄文のビーナス」さまの出土(生誕)地『棚畑遺跡』は、仮面の女神さまの出土地『中ッ原遺跡』から車で5km強の場所にある。日本電産サンキョー茅野事業所の広大な敷地内の駐車場一角に棚機遺跡の記念碑とビーナスさま出土地である解説板が建立されている。遺跡に関する基本情報は下記の通りだ。

棚畑遺跡
所在地:茅野市米沢埴原田
標高: 880m
面積 :8,600㎡
年代: 縄文時代中期(約5,000年前)から後期前半(4,000年前)

高度は、中ッ原遺跡よりもさらに70m低く、こちらの遺跡もまた陽当たりが極めて良好なので、遺跡記念碑周辺の雪はほとんど解けている。

茅野市の「遺跡紹介」の解説文によると「霧ヶ峰の南斜面の山裾に広がる台地」との事。この地を工業団地とするため昭和61年緊急発掘調査が行われ、縄文時代の住居址がなんと149箇所も発掘されたそうだ。

住居址のほとんどが、縄文時代中期(約5000年前)のものであり、この時期に「黒曜石」流通の交易・交流の拠点として繁栄した集落であるらしい。環状集落(大きな円形広場を中央に配し、その周辺に環状又は弧状に住居群を配する構成)が南北2箇所にある双環状の遺跡で、ビーナスさまは、南側集落の中央広場にあった500号土坑からほぼ完全な形で出土したのである。

棚畑遺跡の記念碑(写真左手)と解説版(写真右手)。奥に見えるのが、日本電産サンキョー茅野事業所の建物だ。
解説板。かなりの情報量があって勉強になった。ビーナスさまの発掘は昭和61年9月。南側中央広場に掘られた小さな穴からほぼ完全な形で出土したとの事。広場は「祭の空間」と考えられている。
駐車場の先、遺跡から東の方角には八ヶ岳連峰を遠望する事が出来る。
遺跡西側の方向は扇状地上の地形となっている。その先には「諏訪湖」がある(と地図からは推察される)。
遺跡南の方向に広がるのは畑と小山。その先は、イオンタウン茅野がある。もっと先には南アルプスの山々が控えている。
北西の方向の景色だけ残念ながら無粋である。緑のフェンスは、おそらく運動場だと思う。北側ずっと先には霧ヶ峰がある。
駐車場の先(東側)に遠望できる八ヶ岳連峰をズームレンズで撮影。やっぱり八ヶ岳は理屈抜きでイイ!

改めて「棚畑遺跡」のロケーションを地図で確認すると、東に八ヶ岳連峰、西に諏訪湖、南に南アルプス、北に霧ヶ峰、北東に蓼科山があり、「本州のへそ」と言っても過言ではない場所である。

そして、縄文時代中期に「黒曜石流通の拠点」として繁栄した集落の中心、祭の場から出土したビーナスさまは、正に豊かな縄文時代の「象徴」的存在なのだ。

それにしても縄文人は、本当に素晴らしい場所に集落を構えたものだと感心する。

『八ヶ岳縄文遺跡の四季 ②』

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