樹の家への途 – 茶室『徹』@清春芸術村 にうっとり(山梨県北杜市長坂町)

わざわざ遠出しなくても、八ヶ岳オフィス周辺には、まだまだ素敵なツリーハウスがあるんじゃないか? ふとそう思い、オフィス所在地である長野県諏訪郡富士見町の周辺市町村を対象にあらためてツリーハウス情報を検索してみた。

すぐにヒットしたのは、長坂の「オオムラサキセンター」に建築されたツリーハウス(http://www2.ttcn.ne.jp/~akainu/Oomurasaki%20Park.htm)だった。「何だよ、すぐ近くにあるじゃないか。早速、見学に行こう!」と思ったのだが、【縄文土偶探訪記】で何回も「不発」を経験しているので、改めて詳しく調べた。その結果、2010年の12月に解体・撤去された事が判明。無駄足にならずにホッとした…

さらに調べると、オオムラサキセンター以外にも、数軒(戸)、ツリーハウスらしき構造物の所在を確認。2月17日(土)のオフィス滞在時にその内の1件を訪れる事とした。所在地は、長坂(北杜市)の「清春芸術村http://www.kiyoharu-art.com/)」。八ヶ岳オフィスからは約17km、車で25分程の場所である。ちょうど長坂のJマートで買い物があったので、その帰り掛けに立ち寄った。

美術館等を利用しなければ、芸術村そのものには無料で入れるのかと思ったが甘かった。入り口で入村料1,500円を支払う。安藤忠雄氏の設計の「光の美術館」や「清春白樺派美術館」等々、有名な施設から構成される「芸術村」なので、まあイイか。

そんな風に考えて、施設内のツリーハウス以外の全施設を30分程かけて見学したのだが、悲しいかな、ツリーハウス以外に興味は湧いてこない。函館市縄文文化交流センターで初めて国宝土偶「かっくうちゃん」に出会った時のような衝撃(http://triglav-research.com/?page_id=6868)は、やはり滅多に経験できるモノではないのだ。結局は、ツリーハウス鑑賞にたっぷり時間を割く事になった。

まずは、芸術村の広場中央に置かれた「エッフェル塔の階段」後方から遠目に鑑賞。ん?? この雰囲気はどこかで味わったぞ… そうだ! 茅野の『高過庵(http://triglav-research.com/?p=18772)』だ。

芸術村広場中央の辺りからツリーハウスを遠目に眺めた光景。ん?既視感が… そうだ。茅野の『高過庵』に雰囲気が似ているぞ。

さらに近付く。壁は漆喰である事がすぐにわかった。屋根の素材は何だろう? 茅野の『高過庵』と『空飛ぶ泥舟』と同じ配色だな。だとしたら銅板の屋根かな?

事前リサーチではツリーハウスの存在と大まかな形状しかチェックしていなかったが、近付いて解説板に書かれた内容を読んで納得。ツリーハウスの名前は「茶室 徹(てつ)」。設計者は、『高過庵』や『空飛ぶ泥舟』と同じ藤森照信先生なのだ。設計者のフィロソフィーを表した一連のツリーハウス作品なのであろう。

ツリーハウス脇に置かれた解説板。やっぱり設計は『高過庵』と同じ「藤森先生」だった。さらに連なる文化人の名前に圧倒された。「縄文建築集団とは、南伸坊さんや赤瀬川さんなど 藤森先生の友人からなる素人集団で、 わいわいと現場に集まっては 木や土や石や銅板や植物と格闘し、 建物にとりつけている。」とWebに記されていた。

さらに解説文を読むと「赤瀬川原平」氏、「南伸坊」氏、「林丈二」氏、「阿川弘之」氏といった錚々たる文化人の名前が並んでいる。このツリーハウスはいったい何なんだ?? それに『縄文建築団』なる謎の言葉も記されている。

初っ端に解説版に並ぶ名前に圧倒されたが、すぐに正気に戻って『徹』の鑑賞を開始。残念ながら内部を見学する事は出来なかったが、あらゆる角度から眺めて写真撮影。

独特の屋根の形状が『徹』のイメージを見る角度によって、まったく異なったものにするように思える。この角度からは、かなりスマートな印象だ。

解説文によると広さは1.7坪(畳3畳強)、高さは地上4.0mとの事。パット見の印象では、広さはもう少し大きく、高さは低く感じる。やっぱり地上に建っている建築物とは伝わってくるボリューム感が違うのだ。

この角度から見ると、どっしりとした安定感が漂う。何となくゲゲゲの鬼太郎の「鬼太郎ハウス」を思い浮かべてしまうのは私の感性の歪みだろうか?

支柱となっている樹は、誰がどう見ても『檜』である。解説文には樹齢八十年と書かれているが、2006年4月完成との事なので、さらに12年近い時が経っている。樹齢90年を超える檜か… 残念ながら、我が八ヶ岳オフィスの敷地内にはそんな檜は無い。ちょっと羨ましく感じた。

斜め下から見上げた写真。屋根だけでなく、床の形状もユニークである事がわかる。建築時、樹齢80年の檜の幹は太く、床のセンターではなく、端の方を貫いているのが確認できる。この位置にある支柱で、どうやってバランスを維持しているのだろうか?

底部から床と支柱の接合部分を観察。武骨な金具などは一切無く、見事に漆喰と檜が融和している。一体どんな方法で支柱と建物を接合しているのか本当に不思議に思う。また、眺める角度によって違ったイメージに見えるのは『高過庵』同様、独特な屋根の形状の効果であろう。

床と支柱の接合部。接続金具の類はまったく見えない。漆喰と檜の樹皮が見事に馴染んでいる。

また屋根の銅版や壁の漆喰がもつ「素材の優しさ」のようなものが何とも言えない落ち着きを醸し出している。気が付けば20分近く『轍』にうっとり見とれていた。

改めて周囲を見渡すと立派なが『徹』周辺を取り囲んでいる事に気が付いた。そうか、桜が満開の時には、ピンクで覆われた空間の中に茶室が浮かび上がる設計なんだな。やっぱりプロの建築家は凄いな…

今年の桜の季節に社主さまともう一度訪れよう!そう心に誓って清春芸術村を後にした。

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