鹿さんに負けた! 痛恨の油断…

以前、「稿房通信」で記したことがあるが(https://triglav-research.com/?p=14768)、八ヶ岳におけるガーデニング・ライフは、鹿さん達のとの闘い、知恵比べの連続である。冬期における食害は、切り札「100均ショップの銀シート巻」で今年も完全勝利!銀シートを纏った保護対象の広葉樹は、まったくの食害無しで、4月中旬には無事に衣替えを終えた。

前回、5月13日~14日に八ヶ岳オフィスにショートステイした際には、既に葉桜化したソメイヨシノを引き継ぐかのように「アルプス乙女」が、その可憐な白い花で自己主張をしていた。今年も愛らしい真っ赤な林檎を実らせるに違いない。

鹿除け銀シートの効果で、今年の冬も食害皆無であった「アルプス乙女」。今年は何個、可憐な赤い林檎を実らすのだろうか?
鹿除け銀シートの効果で、今年の冬も食害皆無であった「アルプス乙女」。今年は何個、可憐な赤い林檎を実らすのだろうか?

だが、鹿さん達との闘いは、冬期の樹木保護だけではない。むしろ難しいのは、春から秋にかけての花卉類の保護である。オフィスセルフビルドを終えた後、私は、従来からあった枕木アプローチからオフィス・エントランスのウッドデッキまでのスペースには、明るいトーン(ややピンク掛かった)のガーデンストーンを敷き詰めて、誘導路を作る事にした。さて、その周辺には何を植えようか?真っ先に思い付いたのが、ホスタ(ギボウシ)だった。

枕木アプローチからオフィスエントランスへの誘導路。Y字型に敷き詰めたガーデンストーンの周辺を7種類8株のホスタで取り囲むというデザインだったのだが...
枕木アプローチからオフィスエントランスへの誘導路。Y字型に敷き詰めたガーデンストーンの周辺を7種類8株のホスタで取り囲むというデザインだったのだが…

ホスタなら様々な種類が楽しめるし、寒さにも強い。多年草なので、毎年春になれば芽を出し、美しい葉でオフィス周辺を涼しげに飾ってくれるに違いないと… そう考え、八ヶ岳オフィス近隣のホームセンターを回って、様々な種類のホスタを植えたのは一昨年の夏の終わりだった。勿論、翌年(現在から振り返れば昨年)の生長を期待してのものである。

が、植え付けの翌日に川崎自宅に帰り、その1週間程後にオフィスに出社すると、すべてのホスタの葉が見事に食い荒らされていた。一目見て、鹿さん達の所業とわかる無残な様だった。夏の終わりの時期に葉をむしられてしまったのでは、もうホスタは全滅だな… 諦めて、無策のまま秋を過ごし、過酷な冬を耐えた。

そして、昨年5月初旬、私は驚愕した。植え付け直後に鹿さん達の奇襲攻撃を受け、絶滅したと諦めていたホスタ達が新芽を出したのだ。それもすべてである! 何と言う生命力であろう。これはもう鹿さん達から、どんな事があっても守るしかない。ネット上で様々な「鹿除け対策」を調査・研究した私は、鹿さん達が「クレオソート」の臭いが苦手であるらしい事を知った。

クレオソート(油)は、発がん性物質が恐いので、ホームセンターで環境配慮型を購入。地面に直接撒いたのでは、臭いの持続性がすぐに失われそうなので、小粒な火山岩のガーデンストーンも一緒に購入し、これを環境配慮型クレオソートに半日程浸した。その後、焦げ茶色に染まったクレオソート漬けガーデンストーンをホスタの周辺に円形にばらまいた。臭いがちょっと気になるが、見映えは悪くなかった。

肝心の鹿除け効果だが、ハッキリ言って「抜群」だった。鹿さん達が最も好む新芽の時期も被害は皆無。臭いが薄まった夏場に、ガーデンストーンの上にクレオソートをちょっと追加で撒いただけで、結局、葉や茎が完全に枯れてしまう初冬まで、ホスタはまったく被害を受けなかったのだ。そう、昨年、私は、対鹿さん「ホスタ防衛戦」で完全勝利を成し遂げたのである。

だが、今年の5月13日、私は「油断大敵」という言葉を思い知る事になった。5月8日~10日の八ヶ岳オフィス滞在時、ホスタの新芽が顔を出し始めている事には気付いていたのだが、9日に講演が組まれていたこともあり、つい油断して、鹿さん対策を怠ってしまった。「鹿さんなんて、もう敵ではない。次に来た時でもまだ間に合うだろう…」という甘い気持ちがあったのは事実である。

無残に新芽を喰いむしられたホスタ。鹿さん、ここまでやらなくても...
無残に新芽を喰いむしられたホスタ。鹿さん、ここまでやらなくても…

その結果、7種類8株植えたホスタは、2株を除いて完全に新芽を食い尽くされてしまったのだ。慌ててクレオソート漬けの火山岩を撒いたのだが、時、既に遅しである。おそらく被害に遭った6株の生長は、今年はあまり期待できないだろう。こんな風に、私と鹿さん達との熾烈な闘いはまた繰り返される。

ホスタの中でも特にお気に入りの「エレガンス」。植えた8株の中では、最も大きくて、昨年は美しい花を楽しめたのだが... 鹿に絶対、報復してやると決めた! 人間を舐めんなよ!!
ホスタの中でも特にお気に入りの「エレガンス」。植えた8株の中では、最も大きくて、昨年は美しい花を楽しめたのだが… 鹿に絶対、報復してやると決めた! 人間を舐めんなよ!!
新芽を部分的に囓られただけで済んだ2株の内の1株。クレオソート漬けの火山岩が周囲に比較的多く残っていてため、被害が軽かったのだろうか?
新芽を部分的に囓られただけで済んだ2株の内の1株。クレオソート漬けの火山岩が周囲に比較的多く残っていてため、被害が軽かったのだろうか?

そして、今年は新たな脅威「熊さん」の存在も忘れてはならない。昨秋、同じ別荘街区の敷地内を悠々と闊歩する熊さんが初めて目撃(ビデオ撮影)されたわけだが、私は幸いな事に未遭遇のまま冬を迎えた。次にオフィスに出社した際には、冬の間取り外していた「赤外線監視カメラ」をオフィスの壁に取り付けねばならない。敷地周辺の監視用に「ドローン」の購入も検討する必要があるかな…

トリグラフ・リサーチ 稿房主

【八ヶ岳ライフ】